初心者向け解説 パソコンに突然出る「ウイルス感染」の警告、それ本物か。IPA相談で最多となった「サポート詐欺」の手口を確かめる IPAの2026年第2四半期の相談で最多だったのは、全画面表示の偽ウイルス警告「サポート詐欺」の1,428件。突然の警告音に慌てず画面を閉じる方法と、電話をかけてしまった時の対処法を整理した
30秒で分かる結論
パソコンでインターネットを閲覧中、突然画面いっぱいに「ウイルスに感染しました」という警告が表示され、記載された電話番号に連絡すると、有償の「サポート契約」を結ばされて金銭をだまし取られる「サポート詐欺 」と呼ばれる手口が確認されています。独立行政法人情報処理推進機構じょうほうしょりすいしんきこう (IPA)が2026年7月に公表した「情報セキュリティ安心相談窓口」の2026年第2四半期(4月~6月)の相談状況によると、総相談件数3,832件のうち、この偽の警告画面に関する相談が1,428件(構成比37.3%)にのぼり、寄せられた相談の中で最も多い手口となりました。前四半期(1~3月)からは約23.7%の増加です。警告画面が表示されただけではウイルスに感染したわけではなく、落ち着いて画面を閉じれば被害を防げます。電話をかけないことが最大の対策です。
まず初めに
「あなたのパソコンはウイルスに感染しました、今すぐこの番号へ電話を」——このセリフを警告音付きで画面いっぱいに映し出す図々しさには、いっそ感心すらしてしまう。本物のセキュリティソフトは、警告と一緒に電話番号を大きく表示して電話を急かしたりはしない。むしろ静かに仕事をするのがプロというものだ。逆に言えば、画面が騒がしければ騒がしいほど、それは中身のない脅しである可能性が高い。工事現場でもないのに、けたたましいサイレン音まで鳴らしてくる念の入れようは、もはや詐欺というより過剰演出の域である。※個人の感想です
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。
何が起きているのか
IPAは、インターネット閲覧中に「ウイルスに感染した」「個人情報が漏えいする危険がある」といった偽の警告画面を表示し、記載された電話番号への連絡を促す手口を「サポート詐欺」と呼んで注意を呼びかけています。この警告画面は、ブラウザの通常の操作では閉じられない全画面表示になっているのが特徴です。
警告に従って電話をかけると、詐欺グループの「サポート窓口」を名乗る相手が応答し、遠隔操作用のソフトウェアをインストールさせたうえで、パソコンを遠隔操作しながら「ウイルスを駆除した」ように見せかけます。そのうえで、有償のサポート契約や修理費用の名目で金銭を要求します。支払い方法は、クレジットカード決済のほか、コンビニエンスストアで購入する電子マネーやプリペイドカードが多く使われるとされています。1回の支払いで終わらず、複数回にわたってカードを購入させられ、被害額が数十万円から数百万円に膨らむケースもあるとされています。
IPAが2026年7月に公表した「情報セキュリティ安心相談窓口」の2026年第2四半期(4月~6月)の相談状況によると、総相談件数3,832件のうち、この偽の警告画面に関する相談が1,428件(構成比37.3%)で最多となりました。件数は前四半期(1~3月)の値から約23.7%増加しています。2位は「不正ログイン」423件(構成比11.0%)、3位は「フィッシング」146件(構成比3.8%)で、偽警告に関する相談の突出ぶりがうかがえます。相談対応件数全体でも、前年同期比で約30.3%増加しており、この手口が減るどころか広がりを見せていることがうかがえます。
なぜ重要なのか
サポート詐欺が重要なのは、特別な知識がなくても、誰もが日常的なネット利用の中で遭遇し得る手口だという点です。悪意のあるサイトを意図的に訪れていなくても、通常のニュースサイトなどを閲覧している最中に、広告経由で偽の警告画面が表示されることがあります。
また、この手口は「今すぐ連絡しないと大変なことになる」という緊急性を演出することで、冷静な判断を妨げる設計になっています。突然大きな警告音が鳴ることも多く、慌てて電話をかけてしまう人が後を絶ちません。IPAの統計が示すとおり、この手口に関する相談は他のどの手口よりも多く、前四半期比でも増加傾向にあることから、注意喚起の重要性は増していると言えます。
私たちへの影響
パソコンやスマートフォンでインターネットを利用する人であれば、誰でもこの偽警告画面に遭遇する可能性があります。特に、警告画面への対処に慣れていない高齢者や、パソコン操作に不安がある人が標的になりやすい傾向があります。家族に高齢者がいる場合は、こうした画面が出ても電話をかける必要はないことを、あらかじめ伝えておくことが有効です。
万が一、警告に記載された電話番号に電話をかけてしまった場合や、指示されるままに操作を進めてしまった場合は、それ以上操作を続けず、心当たりがあれば早めにIPAの相談窓口などに相談することが勧められています。すでに金銭を支払ってしまった場合も、諦めずに相談することが、被害の拡大を防ぐ手がかりになります。
初心者が知っておくべきこと
偽の警告画面が表示されただけの段階では、パソコンがウイルスに感染しているわけではありません。画面の表示と実際の感染は別物であり、慌てて電話をかけたり、指示に従って操作したりする必要はありません。
警告画面が全画面表示になっていて、通常の「閉じる」ボタン(×印)が見当たらない場合は、キーボードの「Esc」キーを2~3秒ほど押し続けてください。これにより全画面表示が解除され、画面の右上などに閉じるボタンが表示されるようになるため、それをクリックすれば警告画面を閉じられます。IPAは、この操作を実際に体験できる「偽セキュリティ警告画面の閉じ方体験サイト」を公式サイトで公開しています。
最も重要な対策は、警告に記載された電話番号には絶対に電話をかけないことです。何かおかしいと感じた場合は、IPAの情報セキュリティ安心相談窓口(電話:03-5978-7509、24時間自動応答。オペレーター対応は平日10:00~12:00・13:30~17:00)へ相談できます。
よくある質問
Q. 警告画面が出た時点で、パソコンはウイルスに感染していますか?
A. IPAの説明によれば、画面が表示されただけの段階ではウイルスに感染しているわけではありません。落ち着いて画面を閉じれば、それ以上の被害は避けられます。
Q. 家族の高齢者が心配です。何を伝えておけばよいですか?
A. 「警告音が鳴っても慌てて電話をかけない」「Escキーの長押しで画面を閉じられる」という2点をあらかじめ伝えておくと、いざという時に落ち着いて対応しやすくなります。不安な場合は、家族や周囲の人、IPAの相談窓口に相談するよう伝えておくことも有効です。
IT Postの見方
IT Postでは、サポート詐欺という手口そのものが、技術力より「人をパニックにさせる演出力」で勝負している点に注目している。本物のセキュリティ被害なら、慌てて電話をかけたところで何も解決しない。それなのに、けたたましい警告音とカウントダウンめいた煽り文句だけで、大の大人に見ず知らずの番号へ電話をかけさせてしまうのだから、詐欺師の心理戦のうまさだけは認めざるを得ない。腹立たしいのは、この手口が減るどころか、IPAの統計では前四半期から2割以上も増えている点だ。技術で戦えないなら演出で押し切る 、その発想の転換だけは無駄に洗練されている。とはいえ対策はいたって単純で、「画面のうるささ」と「本物の危険度」は比例しない。落ち着いて閉じるだけで、大抵の場合はそれで終わる話だ。※個人の感想です
今後どうなりそうか
IPAは今後も四半期ごとに相談状況を公表し、必要に応じて注意喚起を更新していく方針です。偽の警告画面の見た目や煽り文句は今後も変化していくとみられますが、「電話をかけない」「慌てて操作しない」という基本の対策は変わりません。IT Postでは、相談件数や手口に大きな変化があった場合には、あらためて取り上げます。