30秒で分かる結論
Appleは現地時間2026年9月9日、iPhone 18 ProとiPhone 18 Pro Maxを発表しました。新しいA20 Proチップは6コアのCPU、7コアのGPU、16コアのNeural Engineを2基備えます。Appleの説明では、グラフィックス性能はA19 Proと比べて最大40パーセント高速で、AI処理能力は2倍です。カメラは4800万画素のFusionカメラに可変絞りが加わり、レーザーで切り出した6枚の羽根が絞りを切り替えます。eSIM専用モデルの動画再生時間は最大36時間、Pro Maxは最大45時間で、AppleはPro Maxについて「iPhone史上最大のバッテリー駆動時間の向上」としています。色はブラック、シルバー、グレイシア、バーガンディの4色。米国価格はiPhone 18 Proが1,199ドルから、iPhone 18 Pro Maxが1,299ドルから。予約受付は9月12日開始、発売は9月18日です。
まず初めに
毎年9月、Appleは同じ形をした板を出してくる。世界はそれを見て、新しい何かが起きたと信じる。今年もその季節だ。
ただ今年の板には、少し変わったものが入っている。カメラの中に、レーザーで切り出した羽根が6枚。絞りである。写真家が100年以上前から使ってきた仕組みを、スマートフォンがようやく取り戻した。進化とは、たいてい過去に置いてきた道具を拾い直すことだ。
そして、事前にあれだけ騒がれた折りたたみモデル。Appleのニュースルームに9月9日付で載ったプレスリリースは、iPhoneとイヤホンの2本だけだった。出たものを数えるより、出なかったものを数えるほうが盛り上がる。それもまた、この季節の風物詩である。※個人の感想です
A20 Proは何が変わったのか
A20 Proは、6コアのCPU、7コアのGPU、そして16コアのNeural Engineを2基という構成です。Neural Engineは、AIの計算を専門に担当する回路です。写真の処理、音声の認識、文章の生成といった処理を、汎用のCPUよりも少ない電力でこなすために置かれています。
Appleが挙げている数字は二つあります。ひとつはグラフィックス性能で、前世代のA19 Proと比べて最大40パーセント高速。もうひとつはAI処理能力で、2倍です。どちらもAppleの計測条件に基づく値であり、実際の体感は使うアプリによって変わります。
ここで押さえておきたいのは、AI処理の強化が「賢いAIが載る」という意味ではないことです。強化されるのは、端末の中で計算を行う能力です。端末内で処理できる範囲が広がれば、写真の加工や文字起こしを通信なしで済ませられる場面が増えます。逆に言えば、どのAI機能が端末内で完結し、どの機能がインターネットの向こうへ送られるのかは、機能ごとに確認する必要があります。
羽根が6枚あるカメラより、コアの数え方のほうが複雑になっているのは、なかなか面白い。
カメラの可変絞りは、何のためにあるのか
今回の目玉は、4800万画素のFusionカメラに入った可変絞りです。絞りとは、レンズを通る光の量を調整する仕組みです。開けば多くの光が入り、背景がぼけやすくなります。絞れば光は減り、手前から奥までピントが合いやすくなります。
これまでのスマートフォンのカメラは、絞りが固定されているものがほとんどでした。背景のぼけは、多くの場合ソフトウェアで人物と背景を切り分けて作っていました。可変絞りが入ると、その一部を光学的に扱えるようになります。
Appleは、この絞りをレーザーで切り出した6枚の羽根で構成したと説明しています。あわせて、新しい計算写真処理により、より鮮明な写真が得られるとしています。また、Apple Reference Imageという仕組みで、写真が撮影されたそのままのものかを利用者が確認できるようにしています。
生成AIで作られた画像と、カメラで撮られた画像の区別が難しくなっている現在、撮影機材の側が「これは撮ったものだ」と示す機能を持つことには意味があります。ただしこれは、他人が送ってきた画像の真偽を判定する道具ではありません。自分の端末で撮った写真について、来歴を確認できるという性質のものです。
バッテリーとeSIM専用モデル
動画再生時間は、eSIM専用モデルでiPhone 18 Proが最大36時間、iPhone 18 Pro Maxが最大45時間です。AppleはPro Maxについて、iPhoneとして過去最大のバッテリー駆動時間の向上だとしています。
注目したいのは、この数字がeSIM専用モデルの値として示されている点です。eSIMは、端末に埋め込まれた電子的なSIMです。物理的なSIMカードを差し込むトレイが不要になるため、その空間を他の部品に回せます。
日本国内では、主要な通信事業者がeSIMに対応しています。ただし、機種変更の手順、海外での運用、サブ回線の扱いなどは、物理SIMを使う場合と異なります。購入前に、契約している事業者の案内を確認しておくと安全です。
価格と発売日、そして日本での価格
米国価格は、iPhone 18 Proが1,199ドルから、iPhone 18 Pro Maxが1,299ドルからです。予約受付は9月12日に始まり、発売は9月18日です。
日本での販売価格については、Apple Japanの表記を確認してください。為替レートから単純に換算した金額は、実際の販売価格とは一致しません。過去にも、為替と税の扱いによって、単純換算とは異なる価格が設定されてきました。
色はブラック、シルバー、グレイシア、バーガンディの4色です。Dynamic Islandは設計が見直され、Live Activityを同時に3つ表示できるようになりました。Face IDの機能は維持されています。
折りたたみモデルについて、確認できること
発表前、複数の海外メディアが折りたたみ式のiPhoneが登場すると報じていました。名称についてもiPhone UltraやiPhone Foldといった呼び方が飛び交っていました。
2026年9月10日時点で確認できる事実を整理します。Appleのニュースルームで9月9日付で公開されたプレスリリースは、iPhone 18 Pro/iPhone 18 Pro Maxに関するものと、AirPods 5に関するものの2本です。そして、iPhone 18 Pro/Pro Maxのプレスリリースに折りたたみモデルへの言及はありません。
つまり、この2本のプレスリリースの中に、折りたたみモデルの発表は含まれていません。ここから先、たとえば「Appleが折りたたみを断念した」といった判断まで進むには、別の根拠が必要です。イベントの内容とプレスリリースの本数は必ずしも一致しませんし、製品の発表時期が分かれることもあります。噂の段階の情報と、企業が公式に出した情報は、分けて扱うのが安全です。
IT Postの見方――数字より、羽根6枚のほうが面白い
IT Postでは、今回の発表でいちばん語る価値があるのは、40パーセントでも2倍でもなく、絞りの羽根6枚だと考える。
性能の数字は毎年上がる。上がらなかった年のほうが記事になるくらいだ。しかし、写真の作り方そのものが変わる話は、そう毎年は来ない。これまでスマートフォンの「ぼけ」は、おおむねソフトウェアが人物を切り抜いて後ろをぼかす仕事だった。うまくいけば見事だが、髪の毛やメガネのフレームで境界が破綻して、切り抜きの粗が見える瞬間がある。光学的に光を絞れるなら、その粗の出どころがひとつ減る。
もうひとつ拾っておきたいのがApple Reference Imageだ。生成AIが写真らしい画像をいくらでも吐き出すようになった以上、カメラの側が来歴を持つのは理にかなっている。ただし過度な期待は禁物だ。これは自分の端末で撮った写真の来歴を確認する仕組みであって、SNSで回ってきた画像の真偽を判定する魔法ではない。世の中の嘘は、この機能の外側で作られる。
日本の読者にとって、何が変わるのか
買い替えの判断で見るべき点は三つある。
第一に、eSIM専用モデルという前提だ。バッテリー駆動時間の数字がeSIM専用モデルで示されている以上、自分の契約がeSIMで問題なく動くかは先に調べておきたい。機種変更の手順、海外渡航時の扱い、家族の端末との使い分け。ここは事業者ごとに案内が違う。
第二に、価格だ。米国価格は発表されたが、日本価格は日本の表記を見るしかない。為替で計算した数字を根拠に「高い」「安い」と判断するのは早い。
第三に、いま使っている端末との差だ。40パーセント速いというのは前世代との比較であって、3年前の端末から乗り換えるならもっと大きな差になる。逆に去年の端末からなら、可変絞りに価値を感じるかどうかが分かれ目になる。カメラをほとんど使わない人にとって、羽根6枚は美しい工芸品ではあっても、買い替えの理由にはなりにくい。
よくある疑問
Q. 可変絞りがあると、写真は必ずきれいになりますか。
必ずではありません。絞りは光の量と、ピントが合う範囲を調整する仕組みです。使いどころが合えば効果が出ますが、明るい屋外の風景写真のように、もともと差が出にくい条件もあります。
Q. AI処理が2倍になると、ChatGPTのようなAIが端末の中で動くのですか。
そのように単純には言えません。端末内で処理できる範囲は広がりますが、どの機能が端末内で完結するかは機能ごとに決まっています。大規模なAIの処理は、現在も多くがインターネット経由で行われています。
Q. 今すぐ買うべきですか。
発売は9月18日です。予約は9月12日からで、初期の在庫や日本での価格が確定してから判断しても遅くはありません。カメラの可変絞りに価値を感じるかどうかが、今年の最大の分かれ目になります。
羽根が6枚。それだけのことで、スマートフォンのカメラは少しだけ写真機に近づいた。数字の派手さでは40パーセントに負けるが、来年この端末を振り返ったとき、記憶に残るのはたぶん羽根のほうだ。