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AI・生成AI

TileLangがHuawei Ascend 950に対応。CUDAと同じ文法ではない、開発基盤の違いを確かめる

TileLangはPython系DSLで、言語自体の公開は2025年1月20日。2026年9月30日のAscend 950対応やTileKernelsの共通Python APIと、CUDA文法互換の違いを整理する

30秒で分かる結論

  • 中国のAI企業DeepSeekは2026年9月30日、Huawei(ファーウェイ)のAI向けチップ「Ascend」上で動くソフトウェア群をオープンソースで公開しました。
  • TileLangはPython系の記法を使うDSL(用途を絞った言語)で、言語自体は2025年1月20日に公開済みです。2026年9月30日の新しい対応はAscend 950向けバックエンドです。
  • NVIDIAのGPUを使わなくても、AIモデルの学習・推論をHuaweiのチップで実用的に動かせる体制づくりを進める動きの一つです。
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生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。

まず初めに

NVIDIAのCUDAという業界標準の共通言語に対して、中国勢が「じゃあ別のチップにも使える開発基盤を作ろう」と動き始めてから、もうどれくらい経つだろうか。輸出規制という外からの圧力が、結果的に「代替品を本気で作る」という内側のエネルギーに転化しているのを見ると、規制というのは意図通りに事が運ばない典型例だな、と思わざるを得ない。※個人の感想です

何が起きているのか

DeepSeekは2026年9月30日、自社の公式微信(WeChat)アカウントで、Huawei(ファーウェイ)の演算えんざんアクセラレータ「Ascend(アセンド)」シリーズ向けに最適化したソフトウェア基盤をオープンソースで公開したと発表しました。

TileLangの公式READMEでは、言語自体のオープンソース公開は2025年1月20日、Ascend 950向けバックエンド追加は2026年9月30日とされています。言語の初公開と、対応先の拡張を分けて読む必要があります。モジュール群についての既報では、計6個という構成や、DeepGEMM、FlashMLA、TileKernel、DeepSelect、DeepEPなどが取り上げられています。これらはDeepSeek自身のGitHub上で公開されており、DeepSeekは各コンポーネントが「NVIDIA向けに以前公開したオープンソースのコンポーネント群と1対1で対応する」と説明しています。特にAscend 950向けには、ネイティブコード生成や自動スケジューリング、同期機能が追加されています。ただし専門家からは、Huaweiの演算基盤がCUDAを即座にそのまま置き換えられる「完全な代替品」ではないという指摘もあります。TileLangの戦略的な価値は、NVIDIAのCUDAと他のアクセラレータの両方を同じ高水準の記述方法で扱えるようにする、共通の橋渡し層を用意したことにあるとされています。

なお、DeepSeekは2026年9月上旬にも、内モンゴル自治区ウランチャブで稼働予定のデータセンターに、Huawei製の「Ascend 950DT」チップを16万基以上導入する計画が報じられており(推論処理向けで、学習には引き続きNVIDIA製チップを使うとされる)、ソフトウェアとハードウェアの両面でNVIDIA依存から離れる動きを並行して進めていることがうかがえます。

チップを描いた挿絵
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。

なぜ重要なのか

この発表が重要なのは、米国の対中輸出規制によってNVIDIAの最先端GPUへのアクセスが制限される中、中国企業が代わりのハードウェアだけでなく、代わりの開発環境まで自前で整備しようとしている点です。AI開発の現場では、チップの性能だけでなく、そのチップを使うための開発言語・ライブラリが整っているかどうかが、実際に使われるかどうかを大きく左右します。

NVIDIAの強さの一端は、CUDAという開発環境にエンジニアの知識やコードの蓄積がある点です。TileKernelsの現在の公式READMEは、Huawei Ascend対応を追加し、同じPython APIをNVIDIA GPUとHuawei NPUの両方で使えると説明しています。このAPIの共通化と、CUDAの文法・ソースコード互換は別の話です。IT Postでは、共通の高水準APIで複数のハードウェアを扱う狙いと、既存CUDAコードをそのまま使うことを区別すべきだと考えます。

私たちへの影響

一般の消費者が直接TileLangを使う機会はありませんが、AI開発の裏側でNVIDIA一強の構造が変わっていく動きは、中長期的にAIサービスの値段や選択肢に影響します。NVIDIA以外の選択肢が実用段階に近づけば、AI企業間の価格競争が働きやすくなり、AIサービスの利用料金やクラウド利用料に跳ね返る可能性があります。

また、日本企業がAI開発基盤を選ぶ際にも、NVIDIAとCUDAの組み合わせ以外の選択肢が実用的になっていくかどうかは、サプライチェーンの分散という観点で意識しておく価値があります。

初心者が知っておくべきこと

「オープンソース」とは、ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを無料で公開し、誰でも内容を確認・改良・再配布できるようにする公開方式のことです。公開された側は無料で使える一方、公開した側は外部の開発者による改良や検証を取り込める利点があります。

「CUDA」は、NVIDIAのGPUにAI処理などの計算をさせるための開発環境です。TileLangはPython系の記法を使い、コンパイラと各ハードウェア向けバックエンドを通して計算を実行するDSLです。複数のチップを扱えることと、CUDAと同じ文法で書けることは同じではありません。

IT Postの見方

IT Postでは、今回の動きを規制が狙った効果と、規制が招いた副作用が同時に表れた事例だと考えます。NVIDIAの最先端チップを使えなくすることは、短期的には中国企業のAI開発を遅らせる効果があったはずですが、長期的には「自分たちで作るしかない」という動機を強め、ソフトウェア・ハードウェア双方の自立を加速させているように見えます。

もっとも、Ascend 950向けの対応が個々の用途で十分な性能を出すかどうかは、実際の検証が必要だ。対応先が一つ増えたことと、手持ちのコードが同じ速さで動くことは別問題、というのが開発の世界ではよくある話だ。IT Postでは、巨大テック企業同士の技術覇権争いの裏で、エンジニアの学び直しコストを減らす工夫が積み重ねられている点には注目する価値があると考えます。※個人の感想です

今後どうなりそうか

DeepSeekとHuaweiは、今後もAscend向けのソフトウェア基盤の拡充を続けるとみられます。内モンゴルのデータセンター計画の進捗や、TileLangの実際の性能評価が今後の注目点です。IT Postでは、NVIDIA依存からの脱却を目指す動きを引き続き取り上げます。

訂正履歴

  • TileLangをCUDAと同じ文法の言語として説明していた箇所を、Python系の記法を使うDSLへ訂正しました。言語自体の公開は2025年1月20日、Ascend 950向けバックエンド追加は2026年9月30日として区別しました。現在のTileKernels公式READMEが示すAscend対応・共通Python APIと、CUDA文法やソースコードの互換を同一視しない説明に修正しました。実機検証や性能保証は行っていません。

情報源

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