現時点では、製薬企業Genentech、カーネギーメロン大学、量子コンピューター企業QuEra、ロボット企業Universal Robots、Amazon Web Services、Doosan Robotics、大手計測機器メーカーDanaher、そしてAIモデル共有プラットフォームのHugging Faceなど、科学研究・ロボティクス・製造業の一部の組織に限定して提供される「研究プレビュー」の段階です。Anthropicは、Model Context Protocol(MCP、AIエージェントと外部データを接続するための標準規格として2024年に同社がオープンソース化した仕組み)と同様に、MHSについても将来的にオープンソース化する方針を示しています。
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。
具体的な導入例として、Genentechでは、液体を扱う自動装置・ロボットアーム・測定装置を組み合わせたタンパク質分析実験を、Claudeが装置間の分注の流量を自律的に最適化しながら実行しました。HHMI Janelia Research Campusでは、これまで7種類の異なるベンダーのプログラムを個別に操作する必要があった実験装置一式を、MHSを通じて統一的に制御できるようになったとしています。量子コンピューター企業QuEraの事例では、AIエージェントが、原子を制御するために必要なレーザーの周波数を極めて高い精度で維持する「ロック」と呼ばれる状態を、人手を介さずに復旧させる制御プログラムを開発し、成功率を58%から99.3%まで引き上げたとされています。
IT Postでは、AIが物理的な機器の操作にまで踏み出したこと自体は、研究や製造の効率化につながる前向きな一歩だと評価しつつも、対象を限られた組織に絞った研究プレビューという慎重な展開の仕方にこそ好感が持てると考えます。チャットボットの誤答は笑い話で済んでも、ロボットアームや製造装置の誤操作は、場合によっては人やモノに直接の被害を及ぼしかねません。量子コンピューターのレーザー制御を人間離れした精度で安定させたという実例は確かに魅力的ですが、こうした技術が幅広い現場に広がっていく前に、安全面の検証がどこまで積み重ねられるかを、IT Postでは注視していきたいと考えます。※個人の感想です