アプリ・スマートフォン Metaのスマートグラス、録画ランプを隠す「抜け穴」はなぜ2カ月で2度も塞がれたのか。対策の中身を確認する 録画開始後にランプを隠せば隠し撮りできた抜け穴を、Metaが新しいアップデートで封鎖――2カ月で2度目となる対策強化の経緯を整理した
30秒で分かる結論
Meta(旧Facebook)は、スマートグラス 「Ray-Ban Meta」などの製品に搭載している、録画中であることを周囲に知らせる録画ランプ(キャプチャーLED)について、新しいプライバシー対策のアップデートを展開しています。同社AR部門の責任者アレックス・ヒメル氏が2026年8月27日、SNS「Threads」で明らかにしたところによると、これまでは録画を開始した後にランプを指などで隠しても、録画自体は継続してしまう「抜け穴」が存在していました。新しいアップデートでは、録画中にランプが覆われると、その時点で録画そのものが停止するように変更されます。Metaは、録画ランプを物理的に破壊・改造して無効化する行為への対策アップデートを2026年7月にもすでに実施しており、今回は約2カ月で2度目となるプライバシー関連の対策強化です。
まず初めに
「録画ランプを指で隠せば、隠し撮りし放題」――そんな抜け穴が、AIグラスとして売り出す製品に堂々と残っていたというのだから恐れ入る。周囲の人からすれば、自分が知らないうちに撮影され続けているかもしれない機能を、メーカー自らが半年近く放置していたわけで、笑い事では済まない話だ。ドリルでランプを削り取る改造まで出回っていたというのだから、対策はもはやモグラ叩きの様相である。スマートフォンの次を狙う「AIグラス」を本気で普及させたいなら、便利機能を積む前に、まず「盗撮できない設計」を先に固めるのが筋というものだろう。※個人の感想です
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。
何が起きているのか
Meta社のAR(拡張現実)部門トップであるアレックス・ヒメル氏は2026年8月27日、SNS「Threads」への投稿で、Ray-Ban MetaシリーズをはじめとするMetaのスマートグラス製品に向けた新しいソフトウェアアップデートを明らかにしました。複数の海外メディアの報道によると、これまでのスマートグラスは、録画・撮影を開始する前にランプ(キャプチャーLED)を覆っていた場合には録画が始まらない仕組みになっていた一方、録画を開始した後に指などでランプを覆っても、録画自体はそのまま継続されてしまう抜け穴が存在していました。今回のアップデートは、この抜け穴を塞ぐもので、録画中にランプが覆われると、その時点で録画そのものが停止するように変更されます。
これは、Metaにとって夏の間で2度目となるプライバシー関連のアップデートです。報道によれば、Metaは2026年7月にも、録画ランプそのものをドリルなどで物理的に削り取ったり破壊したりして無効化する改造への対策として、ランプが物理的に破壊・改ざんされたことを検知した場合にカメラ機能自体を無効化するアップデートを実施していました。*ドリルで穴を開けてまでランプを潰す執念には、脱帽と呆れが半々である。*ヒメル氏は、録画ランプが確実に周囲へ知らせる役割を果たせるよう、今後も同様のアップデートを継続していく方針を示しています。Metaはまた、録画ランプを無効化する改造サービスを宣伝していた事業者の広告や、関連する投稿・アカウントを自社プラットフォームから削除する対応も進めているとしています。
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。
なぜ重要なのか
AIを搭載したスマートグラスは、スマートフォンに代わる次世代の主要な情報端末の候補として、複数の大手IT企業が開発競争を繰り広げている分野です。常に周囲の映像・音声を捉えられるという特性上、装着者以外の第三者が気づかないうちに撮影・録音されてしまう懸念は、この種の製品が抱える構造的な課題として、以前から指摘されてきました。
今回明らかになった抜け穴は、周囲に録画中であることを知らせるはずの安全機能が、実際には簡単に無効化できてしまう状態だったことを示しています。*「撮られているかもしれない」が日常になる社会は、想像以上にじわじわ疲れるものだ。*スマートグラスの普及が進むほど、装着者本人だけでなく、街中ですれ違う不特定多数の人が、意図せず撮影対象になり得る可能性が高まります。今回のような抜け穴の存在と、その修正が繰り返し必要になっている状況は、便利な新技術の裏側で、プライバシー保護の仕組みが後追いで整備されている実態を映し出しているといえます。
私たちへの影響
Ray-Ban Metaなどのスマートグラスをすでに所有している利用者は、ソフトウェアアップデートを適用することで、今回の修正が反映されます。利用者自身が録画中にランプを覆っていない限り、日常的な使い方への影響はほとんどないとみられます。
一方、スマートグラスを装着していない周囲の人々にとっては、今回の対策強化は歓迎すべき変化です。とはいえ、録画ランプという仕組みそのものが、装着者の善意やソフトウェアの実装に依存する対策である以上、街中でスマートグラスを装着した人とすれ違う際に、ランプの有無だけを完全な安心材料とせず、公共の場でのマナーやルールづくりが今後も課題として残ることに変わりはありません。
初心者が知っておくべきこと
「キャプチャーLED」とは、スマートグラスなどのウェアラブル機器で、カメラが撮影・録画をしていることを周囲に知らせるための表示ランプのことです。装着者本人が気づかないうちに周囲を撮影してしまうことを防ぐため、また周囲の人が「今、撮影されているかもしれない」と認識できるようにするための、プライバシー保護を目的とした仕組みです。
スマートグラスのように、常に身につけて使う機器は「ウェアラブル端末」と呼ばれます。スマートフォンと異なり、構えて操作する動作が不要なため、装着者が意識しないまま周囲の映像や音声を記録できてしまう点が、従来のカメラ付き機器にはなかった特有のプライバシー上の課題として指摘されています。
IT Postの見方
IT Postでは、Metaが問題を把握した後、繰り返しアップデートで対応している姿勢自体は評価しつつも、そもそも製品の発売前に塞いでおくべき抜け穴だったと考えます。ドリルでランプを削り取る改造キットが出回るほど需要があったという事実は、この機能を悪用したい人が一定数存在することの裏返りであり、後手の対応で追いつけるものなのか疑問が残ります。「AIグラス」を日常に溶け込ませたいのであれば、周囲の人を撮影する側の便利さだけでなく、撮影される側の安心を最初から設計に織り込む姿勢が欠かせないとIT Postは考えます。次世代端末の主導権争いに前のめりになるあまり、プライバシー対策が後回しにされる展開は、業界全体にとって見過ごせない問題だとIT Postでは考えます。※個人の感想です
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。
今後どうなりそうか
ヒメル氏は、録画ランプが確実に機能するよう、今後も同様のアップデートを継続していく方針を示しています。一方で、一部の報道では、Metaが開発中とされる次世代のスマートグラスでは、そもそも録画ランプを搭載しない可能性も指摘されています。IT Postでは、Metaの今後のプライバシー対策の展開や、スマートグラス業界全体における録画表示の標準化に向けた動きについて、あらためて取り上げます。