Locallyは、もともと個人開発者のAdrien Grondin氏が公開していたローカルAIアプリでした。2026年、LLMをパソコンで動かすツール「LM Studio」を手がける企業がこのアプリを買収し、Grondin氏は同社のモバイル開発を率いる立場になったと、LM Studioの公式ブログや海外の複数の報道が伝えています。買収後の名称は「Locally AI by LM Studio」で、App Storeでの開発元表記はElement Labsです。
アプリの中心にあるのは、対話型AIのモデルを端末の中だけで動かす「オンデバイス実行」です。公式サイトは「すべての処理は端末内で行われる」「インターネット接続もログインも不要」と説明しています。モデルの推論(入力から答えを計算する処理)にはApple MLXを使い、Apple Siliconのユニファイドメモリーを前提にした設計です。*要するに、重いAIをiPadのメモリーに素直に載せている。*App Storeの説明では、Appleのオンデバイス基盤モデル(Apple Foundation Models)にも対応するとされています。
LM Linkは、母艦のパソコン(LM Studioを動かすMacやWindows機)と、手元のiPhone・iPadを安全につなぎ、パソコン側で動く大きなモデルをスマートフォンから使う機能です。2026年6月4日にLM Studio 0.4.16の一部として提供が始まりました。現在は、申請して使う「プレビュー版」という位置づけです。
IT Postで実際に使ってみたところ、Locallyの価値は「何ができるか」よりも「誰に使えるか」の側にあると感じました。ローカルAIの界隈は、長らく自作パソコンや黒い画面と地続きで、詳しくない人を静かに締め出してきた分野です。Locallyは、モデル選びを買い物カゴのように、実行を「話しかける」だけに落とし込むことで、その壁をあっさり越えてきます。動作も軽く、古めのiPadでも待たされる感覚が少ない——地味ですが、ここがいちばん効きます。LM Linkは強力で、外出先から自宅の大きなモデルを呼び出せる体験は新鮮です。ただ、まだプレビュー版で接続の安定性に課題が残る以上、当面の主役は端末内で完結するオンデバイス実行のほうだとIT Postは考えます。AIをまず手元で触ってみるための入口として、いまもっとも人を選ばないアプリの一つだとIT Postは考えます。※個人の感想です