IT Post

by Rice Studio Lab


記事を検索
文字サイズ
ふりがな
AI・生成AI

Claude Haiku 4.5、周りが5や6で騒ぐ中ひとり4.5のまま 小型モデルはもう更新しないのか

Sonnet 5、Opus 5、Fable 5.1、GPT-6の影……フロンティアが世代を駆け上がる裏で、Anthropicの最安モデルは去年10月から値段も中身も据え置き。知識は2025年2月で止まったまま。これは戦略か、放置か

30秒で分かる結論

Anthropicの対話AI「Claude」の小型モデル、Claude Haiku 4.5は、2025年10月15日の公開からおよそ11か月、仕様も価格も変えずに現行モデルであり続けています。この間、上位のSonnetは4.5から4.6を経てSonnet 5へ、Opusも同様にOpus 5へ、さらに最上位のFableは5.0から5.1へと世代を上げました。Haikuだけが4.6も5.0も出ておらず、Anthropicのモデル一覧でも「最新のHaikuは4.5」と記載されています。

Haiku 4.5の主な仕様は、Anthropicの公式ドキュメントによると、料金が入力100万トークンあたり1ドル・出力5ドル(現行ラインで最も安い)、コンテキストウィンドウ(一度に扱える文脈の長さ)が20万トークン、最大出力が6万4000トークンです。信頼できる知識カットオフ(この時点までの知識が最も確かとされる日付)は2025年2月で、Fable 5.1の2026年6月やSonnet 5の2026年1月と比べると1年以上前です。思考方式も、5世代のモデルが備える「アダプティブ思考」(考える量をモデルが自動で調整する仕組み)ではなく、手動で思考量を指定する旧来の「拡張思考」にとどまっています。

一方で、Anthropicは公開時にHaiku 4.5を「5か月前まで最先端だったSonnet 4に近いコーディング性能を、大幅に安く・速く」と位置づけており、コーディングの代表的なベンチマーク(性能評価テスト)SWE-bench Verifiedで73.3%を主張していました。廃止時期は「2026年10月15日より前には廃止しない」とされていますが、これは最低1年サポートの約束であって、終了予告ではありません。

この記事の目次 10項目
出典を確認する(4件)
記事のテーマを表した生成イメージ
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。

まず初めに

周りが「5だ」「6だ」と札を上げていくポーカーの卓で、ひとりだけ去年から同じ手札をじっと持っているやつがいる。Claude Haiku 4.5だ。

紅茶と皮肉の国の会社が作った、いちばん安いモデル。2025年の秋から、値段も中身も一切変えずにそこにいる。他社が3週間ごとに新しいスーツを着てランウェイを歩いている横で、こいつだけ毎日同じ作業着で出勤している。しかも、頼んだ仕事はちゃんと片づけて帰る。地味だ。地味だが、そういう同僚がいちばん信頼できる、というのも世の常である。※個人の感想です

人物を描いた挿絵
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。

Claudeのモデルは今どうなっているか

Anthropicは現在、性能と用途で4つのモデルを並べています。最上位が推論と長時間の作業に強いFable 5.1、次いで複雑なコーディング向けのOpus 5、速度と賢さのバランス型のSonnet 5、そして最速・最安のHaiku 4.5です。

このうちHaiku以外は、2026年に入って軒並み「5」に乗り換えました。Sonnet 5は6月30日、Opus 5は7月24日の公開です。Haikuだけが2025年10月のバージョンのまま据え置かれています。クラス替えで、ひとりだけ前の学年の教科書を使っている状態です。

何が「古い」のか

据え置きで実際に効いてくるのは、次の3点です。

  • 知識の鮮度:Haiku 4.5の知識は2025年2月まで。今年の出来事を尋ねても基本的に知りません。Fable 5.1(2026年6月)とは1年以上の差があります
  • 思考の仕組み:自動で考える量を加減する「アダプティブ思考」は非対応。この機能はFable 5.1やSonnet 5の売りの一つです
  • 文脈の長さ:コンテキストウィンドウは20万トークンで、5世代の100万トークンには届きません。長い資料をまるごと読ませる用途では差が出ます

逆に言えば、これらが要らない用途なら、古さはほとんど問題になりません。賞味期限切れに見えて、使い道次第では平気、というやつです。

この記事の内容にちなんだ挿絵
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。

なぜ小型モデルだけ更新されないのか

明確な理由をAnthropicは説明していませんが、小型モデルの役割を考えると筋は通ります。Haiku級のモデルは、チャットの一次対応、分類、要約、大量のデータの下処理など「深く考えるより、速く安くさばく」仕事に使われます。この用途では、0.1バージョンぶん賢くなっても、現場ではほとんど体感できません。

さらに、頻繁に中身が変わるモデルは、本番システムに組み込む側にとってはむしろ厄介です。出力の癖が変わるたびに検証をやり直す必要があるためです。安く・速く・安定して動くことが最優先の層では、「変わらない」こと自体が価値になります。

Haiku 4.5は結局どのくらい賢いのか

「古い」と言っても、性能そのものが低いわけではありません。Anthropicは2025年10月の公開時、Haiku 4.5を「その5か月前まで最上位だったSonnet 4に近いコーディング性能を、大幅に安く・速く出す」モデルと位置づけました。コーディングの代表的なテストSWE-bench Verifiedで73.3%(同社発表)、速度はSonnet 4のおよそ2倍、条件によってはSonnet 4.5の4〜5倍とされています。

つまりHaiku 4.5は「1年前の最上位クラスを、格安・高速で回せる」モデルです。1回のやりとりで完結する処理を大量にさばく用途や、AIが何度も試行錯誤するエージェント的な処理では、この速さと安さが賢さより効きます。据え置かれているのは「弱いから」ではなく「この立ち位置なら、まだ十分戦えるから」という面が大きいと見られます。

日本の私たちに関係あるのか

Haiku 4.5は、多くのAIサービスの「裏方」として日本でも動いています。チャットボットの一次対応、問い合わせの自動分類、長い文章の要約、検索結果の下処理など、目立たないが数の多い作業を、安く速くこなす担当です。個人がモデル名を選んで使う場面は少なくても、私たちが日常的に触れるアプリの応答速度やコストは、こうした小型モデルの出来に左右されます。

開発者にとっては、100万トークンあたり入力1ドル・出力5ドルという価格が要点です。上位のFable 5.1(入力10ドル)の10分の1で、大量処理では費用差が決定的になります。知識が2025年2月で止まっている弱点は、外部の検索や自社データベースと組み合わせる設計(RAGと呼ばれる手法)で補うのが一般的です。

初心者が知っておくべきこと

知識カットオフとは、そのモデルが学習した情報の新しさの限界です。Haiku 4.5は2025年2月まで。それ以降の出来事は、検索機能などで外から補わない限り知りません。

アダプティブ思考は、質問の難しさに応じてモデルが「どれだけ考えるか」を自分で加減する仕組みで、Claude 5世代の売りの一つです。Haiku 4.5はこれに非対応で、考える量は人が指定します。

エージェント的な処理とは、AIが1回の回答で終わらず、道具を使いながら何手も進めて目的を果たす使い方です。この繰り返しでは応答の速さがそのまま作業全体の速さに直結するため、Haiku 4.5のような高速モデルが選ばれます。

よくある質問

Q. Haiku 4.5はもう使わないほうがよいのですか。 A. いいえ。速度と費用が最優先で、最新の知識や長い文脈を必要としない用途(定型的なチャット対応、分類、要約など)では、今も有力な選択肢です。

Q. 他社の小型モデルはどうなっていますか。 A. OpenAIやGoogleも小型・低価格の枠を持っています(GPT系の「mini」、Google Geminiの「Flash」など)。ただし更新の頻度は各社でばらつきがあり、Gemini Flashは3週間ごとに新版が出る一方、Haikuは据え置きです。

Q. これから新しくHaiku 4.5を採用しても大丈夫ですか。 A. 少なくとも2026年10月15日まではAnthropicが提供を続けると表明しています。それ以降の予告は出ていないため、長く使うシステムに組み込む場合は、他モデルへの移行のしやすさもあわせて考えておくのが安全です。

IT Postの見方

Haiku 4.5が1年近く据え置きなのは、たぶん正しい判断だ。

フロンティアのモデル乱発は上の階でやってもらえばいい。あそこは差別化のために毎月旗を振らないといけない世界だ。でも、いちばん下の「安い・速い・大量」の層は事情が違う。ここで求められているのは最新の賢さではなく、去年と同じ値段で今日も同じように動くことだ。毎週更新される小型モデルなんて、組み込む側からしたら悪夢でしかない。

弱点は知識の古さだ。2025年2月で時が止まっているのは、さすがに引っかかる。ただ小型モデルは検索や社内データと組み合わせて使うのが前提なので、致命傷にはなりにくい。IT Postでは、Haiku 5がいつ出るかより、「小型モデルは頻繁に更新しない」というのが業界の新しい常識として定着するかどうかのほうが、注目すべき論点だと考えています。上が忙しく旋回しているときほど、足元は動かないほうがいい。

今後どうなりそうか

Anthropicは「2026年10月15日より前には廃止しない」とだけ表明しており、Haiku 5や4.6については何も予告していません。公開からちょうど1年の節目が10月に来るため、その前後で動きがある可能性はありますが、現時点では憶測の域を出ません。この数日のAIモデル乱発を横断してまとめた記事は9月アタマのAIモデル乱発はどう見てもおかしいにあります。

情報源

この記事を共有する

用語辞典へ