もう少し詳しく

形式検証けいしきけんしょうとは、数学的な証明やコンピュータープログラムが「本当に正しいか」を、人間が読んで判断するのではなく、専用のソフトウエアを使って論理の飛躍がないかを一つひとつ機械的に確認する手法です。代表的なソフトウエアに「Lean」があります。

人間が読んで「正しそうだ」と感じる証明であっても、途中の細かい前提や場合分けに見落としがあることは珍しくありません。形式検証では、証明の一歩一歩をソフトウエアが受け付けられる厳密な形に書き直し、論理的なつながりが本当に成り立っているかをソフトウエアに検査させます。ソフトウエアの検査を通ったからといって、その内容が学術誌の査読さどく(専門家による評価)に代わるわけではありません。

どこで使われるか

形式検証は、もともと航空機やロケットの制御ソフト、医療機器の組み込みプログラムなど、絶対に誤りが許されない分野のプログラム検証で使われてきました。近年は、生成AIが複雑な数学の証明を大量に作れるようになったことで、AIが導いた結論が本当に正しいかを確かめる手段としても注目されています。

身近な例

数学の世界では、AI企業が「AIが難しい数学の問題を解いた」と発表する際に、その証明の一部を形式検証ツールで確認し、結果とあわせて公開する例が増えています。ソフトウエア開発の世界でも、決済システムの中核部分など、バグが許されない処理に形式検証の考え方が取り入れられることがあります。

注意点

形式検証は、書かれた論理の筋道に矛盾がないかを確認する手法であり、そもそもの前提や問題の設定そのものが正しいかどうかまでは保証しません。また、形式検証を通過したという発表だけでは、外部の専門家による独立した検証や、学術誌での査読を経たことにはならない点に注意が必要です。