もう少し詳しく
デジタルツインとは、現実にある工場・設備・建物・都市・人体といった対象の状態を、センサーなどから集めたデータを使ってコンピューター上に再現した「もう一つの分身」のことです。見た目をコンピューター上に再現するだけでなく、現実の対象で起きている変化をできるだけリアルタイムに近い形で反映させ、現実側でまだ起きていないことをコンピューター上で試す(シミュレーションする)ために使われるのが特徴です。名前の「ツイン(双子)」は、現実の対象とコンピューター上の再現が、ちょうど双子のように対応していることを表しています。
どこで使われるか
デジタルツインは、製造業の工場で機械の稼働状況を再現し、故障が起きる前に異常を見つけたり、生産ラインの変更を実際の設備を止めずに試したりする用途で使われています。建築・都市計画の分野では、建物やインフラをコンピューター上に再現し、交通の流れや災害時の避難経路をシミュレーションする取り組みもあります。自動車や航空機の分野では、個々の製品の使用データをもとにしたデジタルツインを作り、部品の劣化具合を見積もって、修理や部品交換の時期を判断する用途にも活用されています。
身近な例
身につけるスマートウォッチが集めた心拍数や運動量のデータをもとに、自分の体の状態をアプリ上で振り返る仕組みを思い浮かべると分かりやすいです。工場や都市で使われるデジタルツインは、これと似た考え方を、もっと大規模で複雑な機械設備や都市インフラに当てはめたものだとイメージできます。身の回りの製品そのものが「賢くなる」のではなく、その製品の状態を映すコンピューター上の分身を作り、そちら側で様子を確認したり実験したりするという発想です。
注意点
デジタルツインの精度は、元になるセンサーのデータの質と量に大きく依存します。現実の対象の状態を十分な頻度・精度で測定できていなければ、コンピューター上の再現も実際の状態からずれてしまいます。また、デジタルツインの構築・運用には、センサーの設置や通信環境の整備、データを処理する仕組みなど相応のコストがかかるため、導入すればすぐに効果が出るとは限らず、対象や目的に応じた見極めが必要です。