AI・生成AI OpenAIの動画AI「Sora」はなぜAPIごと消えるのか。9月24日の完全終了で何が変わるかを確かめる OpenAIが2026年9月24日、動画生成AI「Sora」のAPIを完全終了。半年で幕を閉じた経緯と、開発者への影響を確かめた
まず初めに
*華々しく登場してから終了発表までわずか半年。*もはやアプリの平均寿命というより、夏休みの自由研究並みの短さである。ミッキーマウスやダース・ベイダーを動画に登場させるという1600億円規模の壮大な構想も、蓋を開けてみればお蔵入り。「動画生成AIで世界を変える」と鳴り物入りで始まった祭りは、著作権を巡る火種とディズニーとの手打ち不成立をきっかけに、静かに片付けられることになった。開発者にとっては「移行先は自分で探してください」という素っ気ない置き手紙まで残されているのだから、盛大に始めて静かに去る、という意味では見事な引き際なのかもしれない。※個人の感想です
生成AIによるイメージ。実物や実際の画面ではありません。
何が起きているのか
動画生成AI「Soraそら 」の開発者向けAPI(Videos API)が、2026年9月24日に完全に終了します。OpenAIの公式ヘルプセンターおよび開発者向けページによると、対象となるのは「sora-2」「sora-2-pro」の各モデルと、日付付きのスナップショット(sora-2-2025-10-06、sora-2-2025-12-08、sora-2-pro-2025-10-06)を含むVideos API全体です。OpenAIの提供終了ページには、通常こうしたAPIの廃止時に示される「移行先の推奨モデル」の欄が、Soraについては空欄のまま残されています。
Soraを巡っては、これに先立つ2026年4月26日に、一般ユーザー向けのWebサイト版・スマートフォンアプリ版がすでに終了しています。今回の9月24日のAPI終了によって、開発者がプログラムから動画生成機能を呼び出す経路も含め、Soraの提供はすべて終わることになります。OpenAIは、終了後にすでに生成・ダウンロード済みの動画については引き続き利用者の手元に残るとしつつ、Soraのサーバー上にのみ保存されているデータは完全に削除されるとしています。
Sora自体の終了は、2026年3月24日(米国時間、日本時間25日)にOpenAIが発表していました。2025年9月に単独アプリとして公開されてから、わずか半年ほどでの終了発表です。窓の杜(Impress)の報道によると、OpenAIはロボティクスや「世界シミュレーション」研究など、AGI(汎用人工知能)開発に向けた分野へ計算資源を割り当てる必要があるとして、Soraの終了を説明しています。
なぜ重要なのか
今回の一件が注目されるのは、大きな話題を集めた生成AIサービスであっても、わずか半年ほどで提供終了に至る例が実際に出た点です。Sora 2は2025年9月の公開時、有名キャラクターを模した動画が大量に生成されたことなどで著作権を巡る懸念が指摘されており、既存のアニメ作品に似た映像が無断で生成される事例も報じられていました。
Soraの終了に合わせて、2025年12月にウォルト・ディズニー・カンパニーがOpenAIに対して発表していた10億ドル(当時のレートで約1557億円)規模の出資・提携計画も解消される見通しになったと報じられています。この提携は、ディズニーが権利を持つ200以上のキャラクターをSoraで生成する短編動画に利用できるようにし、ミッキーマウスやダース・ベイダー、グローグー、デッドプールといったキャラクターを利用者自身の動画に登場させる構想だったとされています。大手企業との大規模提携が発表からわずか数カ月で立ち消えになったことは、生成AI分野における提携・投資の不確実性の高さを示す事例といえます。
OpenAIは今回のSora終了の理由として、AIモデルの計算資源にかかるコストと需要の逼迫、そしてロボティクスや世界シミュレーション研究への資源集中を挙げています。著作権問題やディズニーとの提携解消が公式な終了理由として説明されているわけではありませんが、複数の報道で背景要因として指摘されています。
私たちへの影響
Sora自体は日本でも公開直後から高い関心を集めたサービスでしたが、Web版・アプリ版はすでに4月に終了しており、一般利用者への影響はその時点で発生済みです。今回の9月24日のAPI終了で新たに影響を受けるのは、SoraのAPIを組み込んで独自の動画生成サービスやツールを開発してきた事業者・開発者です。今回参照した情報源の範囲では、Sora APIを利用した日本国内の具体的なサービス名までは明らかにされていませんが、動画生成AIをAPI経由で組み込んだサービスを開発・提供している事業者は、9月24日までに代替の動画生成AIサービスへ切り替える必要があります。
OpenAIの公式ページでは移行先の推奨モデルが示されていないため、事業者は自ら他社の動画生成AIサービスなどを検討する必要があります。Sora上でのみ動画を生成・保存してきた利用者は、終了前に必要な動画をダウンロードして手元に保存しておくことが推奨されます。
初心者が知っておくべきこと
生成AIのサービスやAPIには、企業の判断によって「提供終了ていきょうしゅうりょう (EOL、End of Life)」と呼ばれる終了時期が設定されることがあります。無料・有料を問わず、生成AIサービスを日常的に利用している場合は、そのサービスがいつまで提供されるか、終了時にデータをどう扱えるかを、利用開始時に確認しておくことが望ましいといえます。
「APIえーぴーあい 」とは、あるソフトウェアやサービスの機能を、別のプログラムから呼び出して利用できるようにする仕組みです。今回のSoraのように、企業向けアプリやWebサービスの裏側で他社のAI機能をAPI経由で組み込んでいるケースは多く、組み込み元のAPIが終了すると、そのAPIを使っていたサービス側の機能も影響を受けることになります。
IT Postの見方――派手な発表ほど、持続可能性を疑ってかかっていい
IT Postでは、鳴り物入りで登場した生成AIサービスが半年程度で終了に追い込まれた今回の一件を、生成AI業界全体の「勢いだけで突っ走ることのリスク」を象徴する出来事だと受け止めています。
1600億円規模の提携を発表しておいて、半年後には「やっぱりやめます」で終わるのだから、開発者やパートナー企業からすれば振り回されたと感じても無理はない。しかも移行先の推奨モデル欄は空欄という素っ気なさで、後は自分で何とかしてくれという突き放し方である。IT Postでは、生成AIサービスに事業やツールを依存させることには、こうした急な方針転換のリスクが常につきまとうことを、開発者・事業者だけでなく、日常的に生成AIサービスを使う一般の利用者も心に留めておくべきだと考えます。派手な発表ほど、その裏側の持続可能性を冷静に見ておく必要があるとIT Postでは考えます。※個人の感想です
今後どうなりそうか
OpenAIは、Soraで培った動画生成技術をロボティクスや世界シミュレーション研究に活用する方針を示しています。今回参照した情報源の範囲では、Sora技術を応用した新たな製品や、ディズニーとの提携解消後の代替的な取り組みについては明らかにされていません。IT Postでは、OpenAIの今後の動画生成AI関連の発表や、Sora API終了後の代替サービスの動向について、新しい情報が確認され次第あらためて取り上げます。