もう少し詳しく

ゼロデータ保持ぜろでーたほじ(Zero Data Retention、略してZDR)とは、AIサービスの提供元が、利用者から送られたプロンプト(入力内容)や、AIが返した出力結果を、処理が完了した後にサーバー上へ保存せず、速やかに消去する運用方針のことです。多くのAIサービスは、不正利用の検知やサービス改善のために、一定期間データを保存するのが一般的ですが、ZDRを採用する契約では、この保存の期間をできる限り短く、あるいはゼロに近づけることを目指します。

どこで使われるか

企業の機密情報や、顧客の個人情報といった重要なデータをAIサービスで扱う場面で重視される考え方です。医療・金融・法務など、情報の取り扱いに厳格なルールが求められる業界では、AIサービスを選ぶ際の条件の一つとして、ZDRに対応しているかどうかが確認されることがあります。ただし、不正利用の検知やサイバー攻撃への対策といった安全上の理由から、一定期間のデータ保存を必須とするAIサービスも多く、ZDRと安全性の監視を両立させる仕組みづくりが、AI企業側の課題になっています。

身近な例

企業が自社の業務システムにAIサービスを組み込む契約を結ぶ際、「入力した社内文書の内容を、AI提供元のサーバーに残さない」という条件を交渉することがあります。これは、社外に漏れると困る情報を扱う業務ほど、ZDRのような保存しない方針が重視されやすいことの表れです。

注意点

「ゼロデータ保持」とうたわれていても、その適用範囲や例外条件は、サービスごとに異なる場合があります。安全性の監視のためにごく短期間だけ一時的に保存する、法令で保存が義務づけられている場合は例外とする、といった条件が付いていることも珍しくありません。掲げられている言葉を額面どおりに受け取らず、契約や利用規約で具体的にどこまで保存・利用されるのかを確認する姿勢が欠かせません。